【続編⑦】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

ついにKリーダーに愛想を尽かしたY社のD課長は『これからは必要なことはSさんに指示ようにするから!!』と職場ないで宣言し、実際にそのようにしているようです。

この状況はX社とY社間の関係は偽装請負、Y社←X社←当社間の事実上の二重派遣の状況といえ、一刻も早く問題解決をしなければなりません。

ここでわかりづらい相関関係をもう一度整理しましょう。

  • X社はY社から業務を請け負っている
  • X社は自社の社員2名と複数の派遣会社から集めた派遣社員10名でプロジェクトチームを作り、業務にあたっている
  • プロジェクトチームは発注元であるY社の中に間借りしている
  • Sさんは当社からX社のプロジェクトチームに派遣されている
  • SさんはX社の社員から指揮命令を受けて業務を行う立場である

派遣先X社への改善申し入れ

派遣社員Sさんからの訴えを受けて、私はすぐに派遣先X社にアポを取ります。

X社はY社のプロジェクト以外にも様々な取引先で同じような常駐のプロジェクトを持っており、営業企画部ではその立ち上げと保守の取りまとめを行なっています。

いわばこの部署が元締めのような役割をしており、契約行為は営業企画部と行います。つまりはお金を含めた決定権を持っているのはこの部署ということです。

アポを取ったのは営業企画部トップのG部長。

恰幅よくがっしりした体躯、ふてぶてしさを感じる浅黒い顔立ち、「カツラでも被っているのかな」と感じさせる不自然な髪型。ようするにクセの塊のような印象のおじさんと言ったところでしょうか。

部長職を勤めるだけあって頭の回転はよく、都合の悪いことは白々しくとぼけたりと腹芸もできる人物で、正直苦手な相手です。

今回の問題解決にあたって、現場のKリーダーに一度話を通したのも、過去の経験で「なんで現場の担当者を飛び越していきなり私に連絡してくるんだ!現場の管理者の立場を考えろ!」などと言いがかりに近い反撃をくらったことがあり、対決するには周到な準備と情報収集が必要と感じてのことでした。

打ち合わせには呼び出されたKリーダーも同席しています。さて、どのように話を切り出しましょうか?

「すみませんG部長、お忙しいところお時間を頂きまして」

「今日お伺いさせていただいたのは、先日Kリーダーにもお話をさせて頂きました当社の派遣社員Sのプロジェクト内での就業に関する問題でして・・・」

「・・・あぁ、聞いてますよ」

ボテっとした唇を浅く開いてG部長が答えます。

「その後もSから何度か連絡がありまして、少し状況が変わっているんですが、まずは私の理解からご説明させて頂きます」

「少し乱暴なまとめ方かもしれませんが、要約するとSの言い分ではY社内のプロジェクトでは請負契約ですのにY社のD課長という方から頻繁に業務指示があると・・・」

「それだけでしたら御社とY社間の問題なのですが、このD課長が色々な経緯の中から当社のSに直接ご指示を頂くような状況になっているようで、本人がほとほと困っているという状況でして・・・」

まずは簡潔に状況理解の共有を試みます。そしてここからが問題提起となりますが、アプローチの仕方を間違えてはいけません。

「この状況自体も困ったところなのですが、御社と当社にとって一番問題ですのが、Sがこのような状況に対して『偽装請負』ですとか『二重派遣』といった理解をしているということです」

「Sの人柄からして、ことさらに騒ぎ立てるということは考えづらいのですが、今後どんな状況になるかわかりませんから、コンプライアンスの問題として早急な対応が必要だと考えています」

「私の話はSの言い分を私なりに理解した見解ですので、御社様側でのご理解もお聞かせ頂きたくて本日お伺いしました」

ポイントは3点です。

  • 「D課長をどうにかして欲しい」といった具体的な依頼ではなく、偽装請負や二重派遣といった派遣先・派遣会社双方にとって解決が必要な問題提起をすることによって、「一緒に解決をしなければいけない問題」という雰囲気を醸成する
  • Sさんの意見だけをもとに物事を判断せず、「御社様側でのご理解もお聞かせ頂きたい」と寄り添う姿勢を示す
  • 言外に「Sはこの状況がコンプライアンス的にかなり問題があると認識していて、今はこっちで抑えてあげているが、何かあれば訴え出ることをけしかけるぞ」と臭わせることで、問題解決からの逃げ道を塞ぐ

派遣会社の営業担当は派遣先と派遣会社の間に立つ身ですから、本当に弱い立場です。

そんな中、相手に影響力を与えるには「共に問題解決を図る仲間である」という雰囲気の醸成と、常にいざというときに切ることのできるカードを用意しておくことが欠かせないのです。

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