【続編⑧】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣社員Sさんから話のあったY社の中に常駐しているX社のプロジェクトが、Y社のD課長の先走りによって偽装請負になってしまっていること、そしてD課長が「これからは指示はSさんに行う」と衆人の中で発言をしたことにより指揮命令関係は本来のX社からSさんではなく、Y社からSさんという構造になってしまったことが顕在化され、事実上の二重派遣の状態になってしまったのでした。

そのような経緯を「偽装請負や二重派遣の状態を何とかしてください!」と正面突破するのではなく、「偽装請負や二重派遣といった状況が問題であるのにも増して、Sさん自身がそのような理解を持っていて、今後の先行き次第では本人が訴え出ることによって大きなコンプライアンス問題に発展する懸念がある」と伝えるとともに、「当社にとっても大きなリスクなので一緒に解決をしていきたい」というニュアンスを打ち出すことによって、一方的に攻め立てるのではなく、共に問題解決に取り組みたいという姿勢を現したのでした。

さて、X社でプロジェクト案件の取りまとめを行う営業企画部のボスであるG部長はどのような反応をするのでしょうか?

派遣先X社への改善申し入れ

「・・・そうですか。K君から聞いている状況とちょっと違うなぁ」

「K君からはY社のD課長は行き過ぎたところもあるけど、偽装請負というようなコンプラ的に問題のあるほどの言動ではないと聞いているんだけど・・・」

「K君、派遣会社の方はこう言っているんだけど、実際のところどうなのかな?」

G部長大物ぶった鷹揚な口ぶりでKリーダーに問いかけます。

彼とは過去何度もやり取りがあり、私の名前なんて忘れているはずがないのに「派遣会社の方」なんて、ずいぶん嫌味な言い方です。

「え、えぇ、うちのプロジェクトは環境的にもしっかり独立性を担保してますし、業務請負契約上の成果物もわかりやすく設定されていますから、発注元のY社から細かく指示を受けるような状況じゃないはずです・・・」

Kリーダーはおどおどしながら答えます。その答えをかみしめるように間をとってからG部長が口を開きました。

「ほら、K君もこう言っているけど、そのSさんという方は何を問題視されているんですか?」

ぎょろっと目をむくようにしてこちらを見据えながらG部長が質問をしてきます。

答えを考えながらも私は頭の中で作戦を練り始めます。

果たしてG部長は本当にKリーダーの話を鵜呑みにしているのか?それとも何らかの事情でこの問題提起を握りつぶしてしまおうとしているのか?

相手の出方次第でこちらの打ち手が変わります。今までのやり取りではまだ相手の手の内が読み切れません。ここはしばらく馬鹿を装って相手が油断するのを待ちましょう。

「・・・そうですか、それは申し訳ありません。Sからの話を全て真に受けているわけではないんですが、彼は根拠のない嘘をつくような人物でもありませんし、そもそも今回のような嘘をついたところで彼自身に何のメリットもないものですから・・・」

そして一番ボロを出しそうなKリーダーにボールを投げてみましょう。

「・・・K様、普段当社のSをご覧頂いていていかがでしょうか?私は普段の職場での様子まではわからないので・・・」

急に話を振られたKリーダーはまたもおどおどしながら答えます。彼もG部長に苦手意識があるのでしょうか、終始落ち着かない様子です。

「あっ、えぇ、えぇ、職場ではとても頼りにしてますよ。彼がいないと仕事は回らないといっていいと思います・・・」

「ただ、最近D課長にすり寄るようなそぶりがあって、ちょっと困っていました・・・」

早速Kリーダーがボロを出し始めました。

「K様、以前もそのようなお話をされていたと思うんですが、当社のSがD課長にすり寄るというと、どのようなことでしょうか?しかもそれが困るといいますか、K様から見て問題だととらえられる理由というのが少し知りたいのですが」

Kリーダーはさらに困った顔になって話します。

「・・・いぇその、なんというか、SさんがD課長におべっかを使うといいますかね・・・」

「D課長からするとなんでも言うことを聞くかわいい奴なんて感じになってしまいますからね・・・」

いったい何を言いたいのでしょうか?G部長が私とKリーダーの会話を静観しているうちに、もうひと追い詰めしておきましょう。

「・・・K様、素朴な疑問なんですが、当社のSとD課長がなんのきっかけで接点ができるんででしょうか?」

「環境的に独立しているプロジェクトですし、成果物も明確に設定されているので、SがD課長と直接的に関わる機会なんてあまりないと思うんですが・・・」

「しかも可愛がられるような関係までとなりますと、やっぱりちょっと想像がつかないといいますか・・・タバコ部屋で一緒になって雑談をする仲とかですかね?・・・でもSはタバコを吸わないし・・・」

このやり取りで3人の中に「D課長とSさんは仕事上で密接な関係があり、それをきっかけ両者の人間関係が成り立っている」という言外のコンセンサスが生まれました。

馬鹿のふりをしてKリーダーの発言の矛盾点を会話の中で間接的に否定することに成功したのです。

このやり取りを目の前で見てG部長はどのように反応するのでしょうか?

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