【続編⑨】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣先X社への改善申し入れ

「話を聞いていると、やっぱり君のプロジェクトはちょっと問題がありそうだねぇ」

G部長はKリーダーを横目に見ながら低い声で指摘します。

ピンと背中を張って緊張した様子のKリーダー。私との会話の中で語るに落ちてしまいました。

「今の話だとY社のそのD課長って方と派遣のSさんは仕事上のかかわりが深そうじゃないか?そのへんどうなんだ?」

徐々に叱責口調になるG部長。Kリーダーは震えあがっている様子です。確かにこのいかつい風体のG部長から地響きのような低い声で叱られたら怖くもなります。

それにしてもG部長にはあまり情報はインプットされていないようです。きっとKリーダーが叱られたくないがために都合の良い報告をしたのでしょう。

「あ、あ、はい。なんといいますか、確かにD課長とSさんは仕事のやり取りが生まれてしまっているかもしれません」

「り、理由はおそらくSさんが良かれと思ってか、進んでD課長に関わっていくことだと思いますっ」

恐れと緊張のあまりきっとKリーダー本人も何を言っているのかわかっていないかもしれません。見ていてだんだん気の毒になってきました。私の目的は問題解決であって、Kリーダーを陥れることではないのです。

「うぅん、ちょっと何を言っているかわからないなぁ。聞きたいのは派遣会社の人が言うように偽装請負や二重派遣が疑われるような状況があるかどうかってことなんだよ」

Kリーダーははたから見ても苦し紛れの返答だとわかるような表情で答えます。

「・・・そうとは言い切れないといいますか、他の派遣社員からはそのような意見は上がっていませんし・・・」

いい加減に辛抱ができなくなったのか、G部長が語調を荒げて叱責します。

「そういうことを聞いているんじゃないんだよ!うちみたいな会社にとってコンプラ問題は大きな経営リスクなんだぞ!わかってるのか!?」

まるでドラマで見た警察の取調室での一幕のようです。Kリーダーのまどろっこしい話しぶりがせっかちなG部長の怒りをかったのでした。

G部長は怒りに満ちたその視線を私のほうに向けます。

「すみませんね。お恥ずかしいところをお見せして。ちょっと事前に聞いていた話と違ったものだから」

こちらとしては何も後ろめたいことはなく、臆するところもないのですが、目の前で今のような激しいやり取りをされるとさすがに気持ちが萎えてきます。

「いえ、お気になさらず。私としましてはSの主張がすべて正しいとは思わないんですが、部長が先ほどおっしゃられたようにコンプラ問題は御社にとっても当社にとってもリスクですから、なんらか一緒に解決をしていかなければと思っておりまして・・・」

するとG部長はパっと表情を一変させ、薄気味の悪い作り笑いをしながら話しだします。

「ウチとしては今の話を受けてもう一度現場の状況を確認させますよ」

「ある程度情報を揃えたら、Y社の責任者の方にD課長の話をするようにします」

「気になっているのはSさんのことです。いま彼は実際にお困りになっているわけだけれども、この状況に対して何を求められているんですかねぇ?」

さっきまでKリーダーに地響きのような声で叱責をしていたのに、急に作り笑いで猫なで声を出すものですから、私もすっかり気おされてしまいました。

「・・・え、ぇえ、求めるといいますか、まずはD課長から直接Sに指示が飛んでくるというこの状況を解決してあげないとと思っています」

「これも本人からの話でしかないのですが、どうやらD課長が職場内で『今後はSにしか指示を出さない』なんて公言されたって話があるようでして、本人が言うには本当にそうなってしまっているみたいなんです・・・」

またもやKリーダーにとっては都合の悪いことを伝えざるを得ず、気の毒だなと思いながら、おずおずとG部長に伝えます。

G部長は私の話が終わるのを待たずに目線をぎろっとKリーダーのほうに向け、何かもの言いたげな顔をしています。

「・・・そうですか、それが本当だとしたら、それはまずいですね・・・」

「K君、後でまた話すけど、D課長とのやり取りは君がしなきゃだめだよ。そんなこと当たり前のことじゃないか」

相変わらず地響きのような迫力のある声ではありつつも、Kリーダーにあきれ果てているのか大声で叱責するようなことはありません。

「では、すぐに社内で話を揉んでからご連絡しますね。Sさんにはくれぐれもすぐに対応をするという当社の考えを伝えてください。安心して大丈夫ですって。お願いしますよ」

苦手なG部長相手に、とりあえず打ち合わせの目的を果たすことができ胸をなでおろしたのでした。

会議室を出てお二人と別れた後、何の気なしに振り向くと、Kリーダーはロビーで再びG部長に激しく叱責されているのでした。

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