【派遣業界裏事情】派遣法で派遣は3年って聞いてるけど、あの派遣スタッフはなんで10年以上働いてるの?

【派遣業界裏事情】派遣法で派遣は3年って聞いてるけど、あの派遣スタッフはなんで10年以上働いてるの?

派遣って3年しかできないんじゃないの?

知り合いに「派遣って派遣法で3年までって聞いたけど、うちの派遣の人は10年以上いるし、今後もいるみたいだよ。なんで大丈夫なの?ウチの会社なんかまずいことやってる?」なんて聞かれます。

確かに2015年9月30日に改正施行された派遣法では「3年ルール」が大きなポイントとして改正されました。派遣は3年間しか続けられないというルールですね。

でも、派遣法3年ルールになっても、これまで10年以上派遣を続けることができたし、これからも派遣を続けることができるんです。

なぜ10年以上派遣で働けていたのか?3年ルール以前の派遣法は?

2015年9月30日に改正施行され、派遣は3年までという「3年ルール」で「派遣は一時的な雇用」という本来の人材派遣の主旨に近づいた派遣法ですが、改正前の派遣法は「政令26業務」と言われる業務内容に収まっていれば、期間制限はありませんでした。

あなたの身近にいる派遣スタッフで、なんでこんなに長く働いているんだろうという人は、おそらくこの政令26業務の範囲で業務内容が設定されていた派遣スタッフです。

期間制限の対象外なので、派遣という一時的(有期雇用契約)な雇用形態ながら、派遣先が働き続けて欲しい、派遣スタッフが働き続けたいと希望すれば、派遣会社を間に立てて更新し続けられたわけです。

期間制限がなかったといえば便利に聞こえる旧派遣法ですが、それはそれでやはり使い勝手の悪いものでした。むしろ、派遣業界としては旧派遣法によりニーズが減り、官製不況のような悪影響を受けたのです。

期間制限を受けない旧派遣法の政令26業務は次のようなものです。

1)ソフトウェア開発
2)機械設計
3)放送機器等操作
4)放送番組等演出
5)事務用機器操作
6)通訳・翻訳・速記
7)秘書
8)ファイリング
9)調査
10)財務処理
11)取引文書作成
12)デモンストレーション
13)添乗
14)建築物清掃
15)建築設備運転・点検・整備
16)案内・受付・駐車場管理等
17)研究開発
18)事業の実施体制等の企画・立案
19)書籍等の制作・編集
20)広告デザイン
21)インテリアコーディネーター
22)アナウンサー
23)OAインストラクション
24)テレマーケティングの営業
25)セールスエンジニアリングの営業
26)放送番組等における大道具・小道具

項目だけ見ても何が何やらといった印象ですが、要するに派遣契約上の業務内容を26業務の範疇に収まるようにさえしておけば、派遣法の期間制限は適用されないという建てつけになっていました。

ちなみに政令26業務に収まらない業務内容は「自由化業務」と言われ、人ではなく、そのポストに対して最長3年間という期間制限がありました。

ですので、最初はAさんが働いていたのに、1年半経って辞めてしまって、後任のBさんは派遣先か派遣元が直接雇用をしない限り、残り1年半しか働けないといったような仕組みです。

政令26業務に収まりさえすれば、期間制限はないということではありましたが、この26業務内に収めるというのが難しくて、派遣先(就業先)としても派遣元(派遣会社)としても、ひいては派遣スタッフとしても使い勝手の悪い、働きずらい仕組みになり、派遣を利用しようという企業が減り、派遣で働こうという労働者が減ったのでした。

その使い勝手の悪さを説明すると、事務職の案件が多い私の会社では、5号(事務用機器操作)や8号(ファイリング)を多用していましたが、いずれもその「専門性を発揮するので期間制限がない」という建前になっていたので、一般的に事務の方が行うような次のような仕事ができなくなります。

  • お茶出し
  • デスク周りのちょっとした掃除
  • 電話の一次応対や取次(自分の専門性を発揮できる業務に関する電話はOK)
  • 郵便物の受け取り、届け先の社員への配布

今まで派遣スタッフが行なっていた、いわゆる雑務と言われる部分がごっそりできなくなってしまい、仮にこれらの業務を1つでもやらせると政令26業務から外れて自由化業務の対象となり、3年の期間制限が発生するのです。

旧派遣法に改正した当時は、営業としてお客様への説明や、これまでスタッフさんが行なっていた業務を政令26業務の範囲に収めるのに苦労しました・・・

派遣業界は業界団体の政治家への影響力が弱いため、派遣法はその時々の政情に振り回されがちな法律です。一部異常に政治に影響力を持った人はいますが・・・T中平蔵さんとか・・・

派遣業界では派遣法改正があって、業界に不利に働くと、「いつかT中さんがなんとかしてくれるさ!!」なんてブラックジョークがあるくらいです。実際、T中さんはP社さんにしか有利に物事進めてくれないので、何も期待していないのですが。

2015年9月に改正された派遣法、3年後の2018年10月以降は長くいた派遣スタッフも終わりになっちゃうんじゃないの?

2015年9月30日に改正施行された派遣法ですが、【派遣業界裏事情】2018年末、派遣法3年ルールで派遣スタッフが大量派遣切り?でもお伝えした通り、旧派遣法以前から長く派遣スタッフとして働いてきた方々は契約満了の1ヶ月前に契約更新の確認を終える業界慣習から、2015年9月30日時点では既に2015年10月1日~12月31日までの契約更新を終えていました。

ですので、長く派遣スタッフとして勤めている方々は派遣法改正後3年を迎えるのは2019年1月1日となり、これまで通り3ヶ月更新といった有期契約で派遣として働けるのは2018年12月末までとなるわけです。

まさに今この時期に派遣法3年問題に直面している派遣スタッフが大勢いるということです。いままで長く派遣スタッフとして働いてきたのに、今年の年末で派遣スタッフの皆は職を失い、派遣先(就業先)は頼りになるベテランを失ってしまう危機ということですね。

そんな中、皆さんの周りにも、来年以降もこれまで通り就業を継続するという派遣スタッフがいるのではないでしょうか?そのカラクリにはいくつかパターンがあります。

  • 派遣法3年を機に、派遣先(就業先)に直接雇用され、派遣法の期間制限の対象外となった
  • 派遣法とは別に、労働契約法という法律があり、2013年4月の改正施行から有期雇用を反復更新して5年を経過した場合に、その雇用主に無期雇用をしてもらう権利が発生し、反復更新して5年を経過した雇用主である派遣元(派遣会社)の無期雇用社員となって、雇用が安定(無期雇用社員は定年までの継続雇用)したため、派遣法の期間制限の対象外となった
  • 派遣法3年を機に、派遣元(派遣会社)に無期雇用され、雇用が安定(無期雇用社員は定年までの継続雇用)したため、派遣法の期間制限の対象外となった

いずれも直接雇用化(無期雇用含む)により雇用が安定したため、派遣法の期間制限の対象外になったというものです。

まとめ

今回の題材とした「派遣法で派遣は3年って聞いてるけど、あの派遣スタッフはなんで10年以上働いてるの?」「なんで来年以降もまだ派遣として働けるの?」という疑問の答えは次のようにまとめられます。

  • 2015年9月の派遣法改正以前から長く派遣スタッフとして働き続けてこられたのは、旧派遣法のうち期間制限のない、政令26業務の範囲内で仕事をしてきたから
  • 派遣法改正から3年経った後も引き続き派遣スタッフとして働き続けられるのは、3年経過後に派遣元(派遣会社)で無期雇用社員(定年までの雇用)として雇用され、派遣法期間制限の対象外になったから

派遣会社の無期雇用社員の人事制度については、労働者側にとって不利な人事制度の内容が最近話題になっていますので、そのうち記事にして見たいと思います。

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