【続編12】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣先G部長との再度の打ち合わせ

「Sさんを当社の社員として迎え入れたいんですよ。Sさんも派遣のままより、ウチの社員になった方が安定するでしょう?」

雇用主の派遣会社の営業担当である私に対して平然とした表情でのたまうG部長。

その狙いを想像するに「SさんをX社の社員としてプロジェクトに据え直すことで全て解決したことにしてしまおう」という都合の良い考えが透けて見えます。

さらには「契約の切り替えのタイミングで当社の公募にSさんから応募してもらうような流れを考えている」などと都合の良いことも言っています。

正直なところSさんが望むならば彼をX社に引き抜かれようがいっこうに構いませんが、そんな裏事情がスケスケの話にSさんが乗ってくるとは思えません。

むしろ「運営の不手際の尻拭いをさせようなんて、X社はなんて非常識な奴らなんだ」などとトラブル化してしまう方がよっぽど困る。

当社に非はないと言い切りたいところですが、結果的に二重派遣の片棒を担いでしまっている負い目があるからです。

「わかりました。御社からSさんに話してもらうのはいっこうに構いませんよ」

社員化の件は私から話をさせて欲しいという提案にG部長は異論がないようでした。

派遣先X社との今後の取引を考える

G部長との打ち合わせを終え、Sさんにどう伝えるか?いえ、それ以前にX社との今後の取引をどのように考えるべきかと頭の中で整理します。

プロジェクトのKリーダーの頼りなさもさることながら、それを束ねる営業企画部のボスG部長のでたらめさは今後のX社との取引を躊躇させます。

今、当社からX社派遣している派遣社員は10名程度。

ただし、営業企画部配下のプロジェクトに出している派遣社員はSさんのみで他にはいません。営業企画部から撤退したところで他の取引に大きな影響はなく、ここが引き際というものでしょう。

となれば、Sさんを守りつつ、その意思も尊重しつつ、トラブルを避けながら軟着陸させるというのがセオリーです。

ここはG部長の顔を立てることなど考えず、Sさんに寄り添った対応を心がけましょう。

派遣社員Sさんと再度の面談

「Sさん、すみません、お忙しいところ度々お伺いして」

さて、まずはSさんの近況から確認することにしましょう。

「あれから数日経ちましたけども、Y社のD課長からの指揮命令はありませんか?」

再びになりますが、Y社・X社・Sさんの相関関係をおさらいしましょう。

  • X社はY社から業務を請け負っている
  • X社は自社の社員2名と複数の派遣会社から集めた派遣社員10名でプロジェクトチームを作り、業務にあたっている
  • プロジェクトチームは発注元であるY社の中に間借りしている
  • Sさんは当社からX社のプロジェクトチームに派遣されている
  • SさんはX社の社員から指揮命令を受けて業務を行う立場である

問題はY社のD課長が、本来のカウンターパーとであるX社のKリーダーを差し置いて、契約関係のないSさんに直接に指揮命令を行なっていることにあったのでした。

「いえ、あれからなんの音沙汰もありませんよ」

「D課長はKリーダーに対してもなにも言わないので、平穏無事というか、建前通りの関係性になっていて、ちょっと気味が悪いくらいです」

おそらくはD課長に対してY社の誰かしらから「X社のリーダーをSさんにすげ替えさせるから、それまで何も手出しをするな」なんて言われているに違いありません。

「・・・そうですか。いえ実は今日はその辺りの事情も絡んでいるであろうお話をしたくてお伺いしたんですよ・・・」

少し声のトーンを下げて話したことで、Sさんの顔色が変わるのがわかります。

「何かあったんですか?」心配そうに聞いてくるSさん。

「なんと表現したらいいのかわからないんですが、怒らずに聞いてくださいね・・・」

「実はX社の営業企画部のボスであるG部長からSさんを直接雇用したいって話があったんですよ・・・」

私の前振りもあってか、Sさんは喜んでいいやら悲しんでいいやらわからないといった複雑な表情を向けてきます。

「・・・それってどう判断すればいいんですかね?いい話なのかな・・・?」

少し間を置いてから私は口を開きます。

「これは私の見解ですのでご参考にして頂ければと思うんですが・・・」

「D課長はKリーダーに強烈なダメ出しをしている訳じゃないですか・・・」

「一方、Sさんをとても評価している・・・」

ゆっくりと説明をし始めた私の言葉を遮って、Sさんがハッと気がついたように話します。

「あぁ!なるほど、私を人身御供にするって話ですね!」

察しの良いSさんは私が全てを説明する前に気がついたようです。

さて、Sさんはこの話をどうのように受け止めるのでしょうか?

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