【続編13】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣社員Sさんとの再度の面談

「実はX社の営業企画部のボスであるG部長からSさんを直接雇用したいって話があったんですよ・・・」

私の投げかけに一瞬戸惑ったSさんでしたが、一言二言の説明ですぐにその意味合いを察したのでした。

「あぁ!なるほど、私を人身御供にするって話ですね!」

苦笑まじりに答えるSさん。

「・・・まぁ受け取りようによってはそうですね・・・少なくとも私はそう受け止めました・・・」

X社の営業担当である私は、本来X社の利益も考えながら対応をするべきなのでしょう。

しかし狸親父のG部長は、発注元であるY社とX社の偽装請負や、Y社のD課長が直接に当社の派遣社員Sさんに対して指揮命令を行うという二重派遣という状況に対して誠意ある対応どころか、当社のSさんを「公募」という名目で勝手に引き抜こうとしています。

彼にとって当社が「数ある派遣会社の1社」でしかないように、私にとってもX社は数ある派遣先の一つでしかないのです。

G部長の配下にある取引がなくなった場合の影響と、このコンプライアンスの問題、私に向かって「Sさんを引き抜く」と言い切る不誠実さ、諸々を勘案して、もうX社の少なくともG部長に関係する取引はしないと覚悟を決めたのでした。

法律違反の片棒を担いでまですがるような相手でもありません。

問題はSさんをどうするかです。

本人が望むのであればX社の社員になってもらっても構いませんが、果たして本人はそれを望むのでしょうか?

「X社への社員化かぁ・・・Y社への人身御供っていうのが前提だとしたら、それってあのプロジェクトに縛られるってことですよね?」

Sさんは半ば独り言のように問いかけてきます。

「まぁそういうことになると思います。要するにY社のD課長のお守りみないなものですからね・・・」

G部長の顔を立てようなど微塵も考えていない私は本音を返します。

「まだ次の就職先が決まっているわけじゃないので、むげに断る必要もないんですけどね・・・」

Sさんの受け止めは思った以上に前向きでした。

私なら「違法な指揮命令関係で働かせた上に、その矛盾を解消するために直接雇用するだなんて都合が良すぎる。どうせ社員になっても良いように使い捨てられるだけだ」と断るんですが。

「条件面ってどうなっているんですか?」

Sさんからの質問に答えます。

「いぇ、実はG部長からこの社員化の話はX社の公募だって言われてるんですよ」

「公募?」

「えぇ、つまりX社が自社のホームページとか求人広告にのせた募集にSさんご本人が直接応募するって話です」

「つまり当社は何のかかわりもない話ってことなんです」

「え?じゃぁ何で今こうして説明してもらっているんですか?」とSさん。

「私が一旦G部長を止めたんですよ。これまでの経緯を考えたときに『Y社とX社の適法な業務運営やD課長との関係性を考えてSさんを直接雇用します』ってずいぶんX社に都合の良い話じゃないですか」

「当社にはそういった職場にSさんを派遣してしまったという責任がありますし・・・」

「先程Sさんがおっしゃったように『SさんをY社やD課長への人身御供にする』って言っているのと一緒なので・・・」

「ご本人が不快に感じられるケースも考えられるから、一度私からきちんと説明をさせて欲しいってお願いをしたんです」

私からの説明にSさんは納得してくれたようです。

「・・・なるほど、御社としては筋を通したかったってことですね」

「えぇ、それにこの引き抜きの話をお伝えした中で、それは断りたいとなれば、次の仕事のご紹介の段取りも話したかったですし」

Sさんは少し考えてから口を開きます。

「・・・ちょっと迷いますが、一旦社員化の条件を聞いてみます」

「一回、X社の社員になってみて、上手くいかないようだったら、また転職を考えれば良いし」

私の本音

私の予想に反してSさんはX社への社員化の道を選びました。

その後、X社の社員になったSさんから聞いたのですが、社員化の条件は3ヶ月更新の契約社員で、派遣社員だったときとの違いは年に2回数万円のボーナスが出るということくらいだったそうです。

Sさんが社員になったことをきっかけに、Kリーダーはプロジェクトを外され別の職場に。入れ替わりにSさんがリーダーに昇格するとY社のD課長がずいぶん喜んだとか。

G部長からは約束通り、別のプロジェクトでの派遣社員の発注をもらいましたが、私は相手にしませんでした。

その後、数ヶ月間は何事もなくプロジェクトを回していたSさんでしたが、派遣社員だった当時と待遇が変わらないのに責任ばかり重くなり、少しでも上手くいかないことがあると怒鳴りつけてくるG部長に愛想を尽かして早々に退職したそうです。

今回のケースのように発注した会社の中に受託した会社のメンバーが常駐して業務を行うようなプロジェクトに派遣社員を派遣した場合に、思わぬ形で派遣会社が悪事の片棒を担ぐことになってしまうケースがあるのです。

そのしわ寄せは最終的に派遣社員にいってしまうわけですから、必要になってくるのは初期の状況ヒアリングと継続的な状況確認であると言えるでしょう。

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