【派遣会社で働く営業担当のための基礎知識】なぜ派遣社員はすぐに辞めるのか?解決策は?
派遣社員の平均就業期間は約1年間
よく派遣先から「派遣社員はすぐ辞めてしまう」「新しく派遣社員が来ても教えて、また辞めての繰り返しで大変」などとお叱りを頂くことがあります。
では、派遣社員は本当にすぐ辞めてしまうんでしょうか?
日本人材派遣協会のホームページをみると、どうやら派遣スタッフの1つの職場での平均就業期間は約1年のようです。
派遣会社営業担当である私の感覚としても、平均にしたら1年間くらいかなと感じます。
なぜ派遣社員はすぐに辞めるのか?
では派遣社員からして、平均1年間という就業期間は長いのでしょうか?短いのでしょうか?
長く派遣会社営業担当をやっていますが、結論として、派遣で1年続けば長いほうだと感じます。
派遣業界はクレーム産業、なぜクレームやトラブルが多いのか?対処法は?の記事でもご紹介した通り、これまで正社員で働いていた人だとしても、派遣社員という働き方に変わった途端に、働き方やメンタリティに変化が起こります。
働き方の自由度を重視して、雇用の安定や対価を妥協して派遣を選んでいるので、正社員のような安定的かつ長期的なキャリア形成や賃金上昇を前提とした、滅私奉公的メンタリティは生まれないという変化です。
派遣社員は色々な理由から、派遣という働き方を選択しています。
- 勤務地や仕事内容にこだわって働きたい。正社員だと配置転換や転勤などもあってそれが叶えられないので派遣社員として働く
- パートやアルバイトよりも時給が高いので派遣社員として働く
- 契約期間ごとに、今の仕事を続けるかどうか判断できるので派遣として働く
- 責任を問われず、指揮命令に従って受け身に働けるので派遣として働く
- 独立するまで、本業だけでは食べていけないので派遣として働く
- なかなか正社員で仕事が決まらず、仕方ないので派遣として働く
いずれも主体的な理由ではなく、希望する条件を叶えるために、または一時回避的な理由で派遣社員という働き方を選んでいるということです。
この理由がなくなった時が、派遣社員にとっての退職タイミングになります。
また、契約期間も業界慣習で3ヶ月単位であることが多く、短期間で比較的容易に退職の踏ん切りがつけられるのです。
すぐに辞める派遣社員を責める理由はない
契約満了のタイミングで退職する派遣社員に本気で腹をたてる担当者がいます。
「立ち上がりの1〜2ヶ月は育成で、手間ばかりかかり、ほとんど成果も出せない、せっかく育てたのに半年やそこらで辞めるなんて非常識だ!」と顔を真っ赤にして怒り、「派遣社員なんていい加減な奴ばかりだ。育成期間の費用は払えない!!」なんて極端なことを言う人もいます。
ただ、よくよく考えてください。
契約期間を3ヶ月など短い期間で区切って、雇用の責任も負わず、社会保険などのコストや手間も負わず、正社員よりも安いコストで、安定したスキルフルな労働力を維持することなんて、この売り手市場の世の中でできると思いますか?
そんなに都合の良い仕組みはありません。
惜しくなる人材であれば最初から正社員で雇用すればいいのです。
なぜ、派遣社員が長く続く職場があるのか?その違いは?
派遣社員が1年も続かない職場もあれば、かたや、「派遣法は守られているのかしら?」と不安になるくらい長く派遣社員が就業をしている職場もあります。
その理由は簡単、派遣社員がそこで働きたい理由がずっと維持されているからです。
人材派遣協会のWEBアンケートによると「派遣で働く理由」のトップ3は次の通りです。
- 働く時期や期間を自分で選べる
- すぐに仕事に就ける
- 勤務地を選べる
私が派遣先に「長く働いてくれそうな人は誰か?」と問われたら、間違いなく3の「勤務地で仕事を選ぶ人」と答えます。
1、2の理由は、その理由自体が早いタイミングで解消されてしまい、早期退職のきっかけとなります。
3の勤務地については、あまり変化することがなく、勤務地が同じである限り、その派遣社員は多少辛いことがあってもその職場に踏みとどまるモチベーションになるのです。
1番わかりやすいのは家から近くて歩いて通勤できると言うようなことですね。
これに、眠っている優秀な労働力である子育て中のママさん向けに、時短と言う条件が加わると、いよいよ長く続ける理由になり、多少賃金が低くても人気の職場になります。
つまり、昨今の圧倒的な人手不足を受けて、人手が必要な会社は派遣社員に対しても働き方の融通を利かせたり、職場環境を良くしたりといった、攻めの改善を行なっています。
派遣社員に限らずですが、人材の定着を求めるなら、働く側でなく、働いてもらう側が改善をする時代になっているのです。
ハローワークに求人を出しておけば勝手に応募者が来て、その中から良さそうな人を選べばいいと言うような時代は随分前に終わりました。
求職者はより自分の希望に合っていて、条件の良い企業を選びますし、派遣会社もその影響を受けて、より求職者が求めるような就業環境を持っている派遣先に営業力を傾けるような時代になってきたのです。