【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「仕事が全くない」と嘆く派遣社員Pさんのトラブル対応
私の担当派遣社員としてF社で働き始めた30代女性の派遣社員Pさんですが、「全く仕事がなくて毎日何をしていいのか困っている」という相談がありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
派遣先G課長との打ち合わせ
「ところでうちの社員からPさんが仕事に対して意欲がないということを言ってるんですが、これについてはどう思われますか?」
Pさんの「全く仕事がない」という状況を解決するために、その原因や対策について私の意見を言わせておきながら、梯子を外すようにPさん自身に問題があるのではと反論をしてきたG課長。
大上段にPさんの業務状況の原因や解決策を述べた私からするといい恥をかかされたという感覚です。
また、「そちらのここが悪いからこう改善したほうが良い」などとえらそうなことを言ってしまった以上、G課長からのPさんの仕事への取り組み姿勢に対する指摘に真正面から答えなければいけなくなりました。
「・・・そうでしたか、それは大変失礼しました」
「冒頭述べさせて頂きましたが、彼女と話をする中で少し仕事に対するスタンスが受け身すぎるかなと感じるところもありましたが・・・」
「職場では私が思っている以上に皆様にPの仕事に対するスタンスが受け身に伝わっているのですね・・・」
少ししどろもどろになりながら、次の一手を頭の中で考えます。
果たしてG課長は私にどのような対応を求めているのか?Pの仕事に対するスタンスを改めて欲しいのか?それとも辞めて欲しいと思っているのか?
私が指摘をした「全く仕事がない」という状況の原因や対策は全く的まずれで人を変えれば解決すると思っているのか?それともPでなくても同じような問題は起こると考えているのか?
あまり長くは黙り込んでいられません。ここは探り探り行きましょう。
「G課長、Pへのご評価も確認せずに、あれが原因だ、こうした方がいいなど偉そうなことを申し上げて失礼しました」
「私としましてはPの仕事へのスタンスに問題があるのでしたら、そこは指導をしつつ、先々こちらでの仕事を続けられるように手を打っていきたいと思うのですが」
「課長としてはPではこのポストの仕事は果たせないとお考えですか?」
G課長は少し時計に目線をやってから答えます。
「いえ、そんなことはないですよ」
「部下の言うことが全て正しいとは思っていないですけど、Pさんが仕事へのスタンスを変えてうまくやってくれるならそれに越したことはないと思ってます」
G課長のそぶりからもうあまり時間がないのでしょう。だらだらと商談を続けてしまうと話が尻切れに終わってしまったり、時間のなさから相手をイラつかせ、思わぬ感情論に発展してしまう懸念もあります。
それにしても、入って2週間しか経っていないPさんの仕事への取り組み姿勢が受け身だというだけで、全く仕事がないなどという状況になったりするものでしょうか?
私の職場にアルバイトやパート社員が入ってきたとして、職場のメンバー全員が2週間でその人に見切りをつけて全く仕事を与えず、上司が部下のそういった対応を追認するなどというのは考えづらいのです。やはりなにかおかしい。
この話の流れでは一方的にPさんが悪く、改善が見られないなら人を入れ替えて欲しいなどという結論に結びついてしまいそうです。
多少の反論は覚悟して、最後に一矢報いておかなければいけません。
「G課長、当社のPの仕事への取り組み姿勢が社員の皆様のお眼鏡にかなわなかったのであれば申し訳なかったのですが、本来派遣は仕事を指示されて行うものですし、仕事をする上で社内のことをお教え頂くこと作業は必要なことだと思っています」
「今日のお話を踏まえてPとはもう1度話をしてみようと思ってまして、その後の彼女の働きぶりを見て頂き、課長とまた2週間後にお時間を頂くことはできませんか?」
G課長はいよいよ時間がないのか、少し腰を浮かせながら返事をします。
「・・・わかりました。あなたがそうおっしゃるなら、また2週間後にPさんの様子を見ながらお話をしましょう」
あいかわらず淡々と答えつつ、G課長は会議室に私を残して次の会議に向かったのでした。
他の部署の担当者から裏をとる
G課長と別れた後、同じF社の別の部署で前から付き合いのあるS係長に声をかけます。
S係長は元課長で、役職定年により今はシニア社員として同じ職場で働き続けています。
課長だった当時からそうでしたが、話好きで捕まると1時間くらいは雑談に付き合わされるため閉口しますが、F社内の情報通でもあり、話の裏を取りたいときには重宝するのです。
「お久しぶりですS係長、ちょっとお聞きしたいことがあって・・・」
「あぁ、G課長のとこのPさんのことだろ?多分連絡してくるんじゃないかと思ってたよ。苦戦してるんだろ?いっつも都合の良い時だけ連絡してくるんだから」
ずいぶんと察しがよいS係長。なぜすぐにPさんの話だと判ったのでしょうか?