【続編⑩】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「仕事が全くない」と嘆く派遣社員Pさんのトラブル対応
私の担当派遣社員としてF社で働き始めた30代女性の派遣社員Pさんですが、「全く仕事がなくて毎日何をしていいのか困っている」という相談がありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
G課長との最初の商談では、Pさんに仕事が回ってこない原因が職場側にあると問題提起をしたものの、「Pさんの仕事への取り組み姿勢に問題がある」と切り返され、根本的な解決の方策ははうやむやにされたまま終わってしまいました。
F社内の情報通を自称するS係長からの情報収集により、やはりG課長の職場側に問題があると判断した私は「派遣先に職場環境の改善を求める」ため再度G課長と対峙することにしたのでした。
派遣先G課長との再度の商談
「G課長、たびたびお時間を頂いてすみません」
前回の商談では、「うちとしてはPさんには続けてもらいたいと思っていますよ。そのためには我々が彼女に何をしてあげればいいと思いますか?」と私に問いかけ、散々解決策を提案させておきながら、「ところでうちの社員からPさんが仕事に対して意欲がないということを言ってるんですが、これについてはどう思われますか?」と急に梯子を外してきたG課長。
「数年勤めた人が辞めた後、半年の間に数人の派遣社員が入れ替わっている」というS係長からの話を踏まえると、私との商談での話の運び方は話をはぐらかすための確信犯的なもので、G課長にはそもそもこの件の根本解決を図るつもりはないのかもしれません。
今回の商談の目的は次のようなものです。
- G課長にこの件を解決する意思があるのかないのかを明らかにする
- 解決の意思があるのであればその方策を握る
- 解決の意思がないのであればその理由を突き止め、今後のPさんの就業をどのように導いていくかを決める材料にする
「先日のお打ち合わせでは、当社のPの業務量が少ないという点につきまして、Pへのご評価や御社の内情なども知らずにいろいろと生意気な意見を申し上げて失礼しました」
いきなり戦闘態勢に入っても相手を無駄に警戒させるだけですから、まずは「謝っているようで謝っていない」枕詞的な導入トークから。
前回の商談ではPさんの仕事への意欲が低いという指摘に対して、私なりに確認をし、改めて報告をするという流れになっていましたから、そこから話をスタートさせましょう。
「前回ご指摘いただいたPへの『仕事に対して意欲がない』というご指摘なのですが、その後もう一度Pと面談をし、状況を確認致しました」
「私なりの理解としてはやはりPの仕事への意欲の問題というよりも、社員の皆様がPに仕事を任せるにあたって、教える手間がついて回るということが彼女に仕事が回ってこない原因なんだろうと感じました」
「G課長のご意見に反論するようで恐縮なのですが、社員の皆様に歩み寄って頂かなければ根本的な解決は難しいのではないかと思っております」
私からの指摘を受けて、相変わらず淡々としたG課長の表情に少しだけ苦々しい思いが表現されたように感じました。
「社員の皆様がPに仕事を任せるにあたって」とか、「社員の皆様に歩み寄って頂かなければ」とか婉曲な表現をしてはいますが、ようするに面と向かって「あなたのマネジメントができていないからダメなんだよ」と言っているに等しく、出入りの業者に説教をされるようなもので、G課長からすれば腹立たしい限りでしょう。
「・・・そうですか、Pさんの仕事ぶりには全く問題がないというご理解なんですね?」
案の定、G課長は正面から私の問いに答えず、からめ手で反論してきます。
さて、どこまで喧嘩を売りましょうか。Pさんは引き続きF社での仕事を続けたいということですから、喧嘩だけふっかけて、なんの解決にもたどり着くことができなければ私のいる意味などないのです。
「・・・全く問題ないと言えばそうではないと思いますが、御社の色々な方からお聞きした話としまして、このポストではPの前にも数名短期間で退職をしていると聞いておりまして・・・」
「私はそんな話は初耳だったものですから・・・」
「そのお辞めになった方々の理由はわかりませんが、このままいくとPも早くにやめてしまう可能性があるなと考えてまして、なんらか手を打って行きたいと思って考えをお伝えさせて頂いています」
「働く側にとって仕事が全くなく職場にいるというのは思った以上に辛いことですから・・・それにまだPは御社に入社して少ししか経っていませんし、周りからすれば『あの人はなんでいるの?』って話になって本人も針のむしろみたいな気持ちのようなんです・・・」
意識してポツポツと言葉を途切れさせながら、相手の様子を上目遣いにうかがうようにおずおずと話します。
「あなたから直接聞いていないけど、前任が短期間で何人も入れ替わっていることは知っているんだぞ」ということはしっかり伝えつつも、G課長にとっては痛いところを指摘されるわけですから、「叱り付けられないか怯えながら話をする営業」を演出します。
さらには「Pさんはあなたが思っている以上に辛いんだよ」と感情論もまとわせる。
さて、G課長はこの投げかけにどのように反応してくるのでしょうか?