【続編12】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「仕事が全くない」と嘆く派遣社員Pさんのトラブル対応
私の担当派遣社員としてF社で働き始めた30代女性の派遣社員Pさんですが、「全く仕事がなくて毎日何をしていいのか困っている」という相談がありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
対応経緯
情報不足な中、こちらから話し過ぎたという前回の商談での反省から、今回の商談では豊富な情報を元に、慎重に言葉を選びながら質問をして、「繁忙期を目前に派遣社員の入れ替わりによって雑務が手離れせずに疲弊する社員をサポートするために、どのように派遣社員の定着を図るのか」という課題感を共有するところまでたどり着くことができました。
ではPさんを今後どのように働いてもらうのか?肝心の点について議論を深めるアプローチをしていきましょう。
派遣先G課長との再度の商談
「前にもお伝えしましたが、Pさんにやる気があられるなら、今後も続けていって頂きたいと思っていますよ。別に辞めてほしいだとかお伝えしたつもりはありませんが」
相変わらず私からの投げかけに少し論点をずらした回答をしてきます。
私が聞きたいのは「Pさんの就業を継続させてほしい」ということではなく、「Pさんの仕事が回ってこないという原因をどのように理解し、どう対策を取るつもりなのか?」ということなのです。
「いえG課長、私がお聞きしたいのはPの業務量の現状を考えたときに、このまま放っておけば彼女もこれまでの派遣社員の人たちと同じように早期に退職してしまうだろうということです」
「先日私なりの拙い意見を述べさせて頂いたわけですが、何かしら原因がなければ就業開始から2週間経っても全く与えられる仕事がないなどという状況にはならないと思いますし・・・」
前回の商談で私が伝えた原因を「拙い意見」と自ら卑下することで、G課長自らの見解を示すよう促します。
「・・・先日頂いたご意見ですが、参考にもう一度お教え頂けますか?」
G課長がまた変化球を投げてきました。どうしたものでしょうか?ただ、答えないわけにもいきません。
「もう一度ですか・・・わかりました」
私はしぶしぶ答えます。
「私なりの考えですが、不躾な物言いもあるかもしれませんが簡潔にお伝えしますと・・・」
【原因】
- 頼まれ仕事がメインのため、複数の社員がPさんに仕事を頼むという環境で、全体的なPさんの業務内容や業務量は管理されていない
- 定型業務がないため、Pさんには職場での基礎的なルールや社内システム操作などを学ぶ機会がない
- 仕事を頼む側からすると、Pさんに1から仕事を教えることになってしまい、かえって時間がかかることから仕事を頼むことを躊躇する環境になってしまっている
- 短い期間に派遣社員が入れ替わってしまっているため、仕事を頼む側の社員にも「教えてもどうせすぐ辞めてしまうのだから自分でやったほうが早い」という徒労感とあきらめの感情があるのでは?
【解決策】
- 社内システムやルールの習熟のため、しばらくの間は定型業務だけをやってもらう
- 社員に派遣社員への育成のモチベーションと責任感を持ってもらうために、しばらくの間は特定の社員の専属のアシスタントという位置づけにする
「いずれも外野の意見ですから的外れかもしれませんが、先日はこのようなお話をさせて頂きました」
また私が話した後に梯子を外すようなマネをしてくるのではないかと警戒しながら話し終えます。
「よく分かりました。先日お話をした時はウチの社員からPさんの仕事への意欲を疑うような発言が多かったものですから、せっかくのご意見を無駄にしてしまって申し訳ありませんでした」
前回と違ってずいぶん殊勝な応対です。私が色々と内情を知っていることを察知して、態度を変えたのかもしれません。
「そうしたら、Pさんにはしばらく一人の社員のアシスタントをやってもらいましょう」
「その中で社内システムやルールを学んでもらって、仕事に慣れてきたら徐々にサポートする社員の人数を増やしていくというやり方にしましょうか」
予想外にも、私の意見を取り入れてPさんの職場環境の改善を図ることにしたようです。
「ありがとうございます。それでは私からPにはそのようなご配慮を頂くことになったと伝えておきます」
「Pには定期的に様子を確認して、仕事の習熟度合いを確認するようにして、何か変化があればご報告致します」
少し不安を残しつつの結末ではありますが、私から提案した話でもあり、そうと決まってしまえば反論する理由もありません。
G課長との商談を終え、会議室を後にします。
せっかくF社まで来ましたから、その後にPさんとも面談を行い、G課長との話の顛末を伝え、またしばらくしたら様子を来ると約束をしたのでした。