【続編14】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「仕事が全くない」と嘆く派遣社員Pさんのトラブル対応

【続編14】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「仕事が全くない」と嘆く派遣社員Pさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてF社で働き始めた30代女性の派遣社員Pさんですが、「全く仕事がなくて毎日何をしていいのか困っている」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

 

対応経緯

「Pさんにはしばらく一人の社員のアシスタントをやってもらいましょう。その中で社内システムやルールを学んでもらって、仕事に慣れてきたら徐々にサポートする社員の人数を増やしていくというやり方にしましょうか」

紆余曲折を経て採用されたPさんの業務量を確保するための取り組みは、G課長が部下のK社員にPさんの面倒を丸投げし、安請け合いしたイエスマンのK社員は彼女をほったらかしにするだけという結果になってしまいました。

これ以上、私が間に入って改善を訴えかけたところで、職場で働くPさんが居づらくなるばかりで良い結果につながるとも思えません。

ここは逃げるが勝ち。Pさんもできるだけ早い退職を望んでいます。

問題は契約期間が残り2ヶ月間もあること。派遣社員Pさんの「毎日全く仕事がない」というこの問題、そもそも派遣先の職場環境に問題があることは明確なのですが、これまでのやり取りから察するにG課長が「それならしかたない」と見逃してくれるとも思えません。

さて、どのように対応をしていきましょうか。

派遣先G課長へPさんの契約途中終了をどう伝えるか?

人材派遣は派遣先と派遣会社間の人材派遣契約(商契約)、派遣社員と派遣会社の雇用契約という2つの契約で成り立っています。

それぞれ別の契約ですから、派遣先と派遣会社間の契約と派遣社員と派遣会社間の雇用契約は一致している必要はありません。

派遣会社から仕事を紹介されるときに「派遣先との初回の契約が2ヶ月だから最初の雇用契約は2ヶ月間です」などというセリフを聞くことがありますが、これは全く別の契約をさも関連するように表現しているだけで、単に派遣会社が雇用のリスクを負いたくないために派遣先と派遣会社間の契約とタイミングを合わせているだけのことです。

また、人材派遣は「〇〇という業務を行うために、〇〇というスキル経験を持った人材を派遣してほしい」という派遣先企業の発注を受けて人材を派遣するものです。

「〇〇というスキル経験を持った人材」ということですから、Aさん、Bさんといった属人を指定するものではありません。

さらには人材派遣は成果物を求める商契約でもありません。

つまりは「派遣先の要望に沿った〇〇というスキル経験を持った人材が月曜〜金曜日の9時〜18時の間に〇〇という業務を遂行」してさえすれば、その派遣契約は履行されているということになります。

逆に言えば、Pさんが退職したとしてもG課長はその代わりに「〇〇というスキル経験を持った人材」を派遣してくれという契約上の権利があります。

人材派遣がAさん、Bさんといった属人を前提としない契約だとはいっても、たいていの場合は「Pさんが退職するので、一旦契約はなかったもの(期間短縮)として、御社だけでなく他の派遣会社も含めて後任を探します」という運用になりますが、今回のように派遣社員が頻繁に入れ替わるような職場環境に問題のある派遣先では、派遣会社がその派遣先との取引を避けるため、契約の残った派遣会社が後任を出さざる得ないという「逃げきれない」状況が発生するのです。

頭の切れるG課長を相手にするには、この辺りの理屈もしっかりを念頭に置いて立ち向かわなければいけません。

派遣先G課長への交渉開始

「G課長、申し訳ありません。お忙しいところお時間を頂いてしまって」

「先日、ご配慮を頂いたPをしばらく御社の社員の専属アシスタントにした頂くという件なのですけれども・・・その後その社員の方から何か様子はお聞きになっておられますか?」

G課長は「自分から呼び出しておいていきなりそっちから質問とは順番が違わないか?」といった怪訝な表情で私を見ています。

「・・・それはどういう意味ですか?なにかよくない状況ということでしょうか?」

「さっき、Pさんを任せたウチの社員のKから状況を聞いたら順調だということだったんですが」

Pさんの話を聞く限りの状況を「順調」というならどうかしています。

「・・・そうですか、P本人からはずいぶん違う報告を受けていまして」

「どうやら、前にも増して仕事がないみたいなんです」

G課長は「うんざり」といった表情で私をマジマジと見ています。忙しいのに一人の派遣社員のことで何度も時間を取られて、派遣会社から「ウチの派遣社員の仕事がない」と同じような苦情を言われるのは滅入ることかもしれません。ただ、言う方のこちらも十分うんざりしているのです。

「何でそんなことになるんですか!?Pさんに仕事を与えるためには社内システムやルールを知る必要があるって言うから、わざわざ社員を一人つけたんですよ?」

「ウチの社員のサポートをしてもらうために派遣を雇っているんであって、Pさんに『お仕事して頂く』ために御社にお金を払っているわけじゃないんですよ!」

いつもは淡々としているG課長、珍しく語調荒く抗議をしてきます。ただ、こちらにだって言い分があるのです。

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