【続編②】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】勤怠や交通費を水増し請求する派遣社員Dさんのクレーム対応

【続編②】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】勤怠や交通費を水増し請求する派遣社員Dさんのクレーム対応

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派遣先B社で外回りの営業職として半年働いてくれている30代男性の派遣社員Dさんですが、「営業成果が悪いだけでなく、営業報告書に矛盾が多く、仕事をサボっているのではないか?」との派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

営業職の派遣社員に対するクレームやトラブルの問題解決にあたっては派遣先への事前の情報収集と、問題の解決に時間がかかることへの理解を取り付けることが重要です。

派遣社員の就業が始まった後の派遣営業の役割は主に派遣先と派遣社員間の調整役ということになりますが、両者から見て現場(就業先)にいない派遣営業は当事者のようで当事者でない存在。

問題が起こり、それが派遣先と派遣社員の両者に認識されると、それぞれなりの言い分というものがでてきます。

派遣営業にとって派遣先はお金を払ってくれるお客様、なかなか思ったことをそのまま伝えることのできない力関係です。

かたや派遣営業にとっての派遣社員は「雇用主と労働者」という関係ではありつつも、世の中一般的な労働者の権利意識の増大、派遣社員側の「自分たちが派遣先で働いているから派遣会社に売上利益が生まれる」という意識、さらには昨今のなんでもハラスメントに当てまめられてしまう風潮から、雇用主として一方的な物言いをすることはできません。

つまり派遣営業は、問題解決にあたって相当難しいバランス感覚で物事を進めなければ、派遣営業の発言自体が別のトラブルを産んでしまうというジレンマを抱えていることになります。

そんな中、業務として日々交渉ごとを行い、その交渉力や調整力に磨きをかけている営業職の派遣社員の問題解決を行うとなれば、その難易度は倍増するのです。

それぞれ言い分を現場(就業先)にいるわけでもない派遣営業があやふやなバランスの中で両者を問題解決に導く。

だからこそ問題解決には事前の派遣先への密な情報収集はもちろんのこと、その解決までに時間と手間がかかるということを理解してもらわなければなりません。

派遣先W課長へのヒアリング

「W課長、ご連絡を頂いていたDの件なのですが、本人対応にあたってもう少し状況を確認させて頂いてよろしいでしょうか?」

W課長は50代前半の男性。ずっと法人営業に携わってきた、いわゆる叩き上げの営業畑の管理職です。

派遣社員ばかりを20名ほど集めたこの営業センターは2年ほど前に立ち上がった組織で、W課長はその立ち上げ時からずっと陣頭指揮をとっています。

このセンターでは4名の営業職の派遣社員に対して1名のマネージャーを配置していますが、マネージャーも派遣社員であり、B社のプロパーはW課長と営業企画の役割をしてる社員1名の合計2名ということになります。

私自身もその経験がありますが、ほぼ派遣社員という外部人材だけでできた営業組織のマネジメントは、正社員だけの営業組織に比べると格段にマネジメントが難しいのです。

昇格昇給といった長期的なキャリア形成を念頭に、ある意味「会社に骨を埋める」つもりで上司が向く方向に従って働く正社員と違い、派遣社員として営業職に就いた人たちには色々なタイプがいるからです。

「成果に見合った報酬を得てお金を稼ぎたい」「営業職にキャリアチェンジをするための経験を積みたい」「将来の独立のために色々な経験を積みたい」

少し考えただけでも働くメンバーそれぞれの仕事に対するベクトルがバラバラであることがわかります。

私の経験の中で見聞きするに、そのようなあっちを向いたりこっちを向いたりしている雑多な人材をマネジメントするにはいくつか方法論があるようです。

  1. 高額なインセンティブを設定し、目の前にニンジンをぶら下げることでマネジメントを行うケース
  2. ノルマや目標を設定し、それに対する活動や進捗を徹底的に管理することでマネジメントを行うケース
  3. 個々の働く意味や将来設計を踏まえて、個々のモチベーションの源泉を見極めて、それを刺激していくことでマネジメントを行うケース

いずれの方法論も「給料を払っているんだから。言われなくても勝手に働いてくれる」などという考えはなく、性善説・性悪説織り交ぜて積極的に相手に関わっていくといったマネジメントです。

W課長は3番目の個々のモチベーションの源泉を見極め、個々にアプローチをしていくタイプのマネジメントを好みます。

そのため営業担当である私は、担当の派遣社員がどのような考えや目的を持ってB社での営業の仕事に就き、今そのモチベーションがどのような状態なのかを掴んでおかなければW課長との会話において後手に回ってしまうことになってしまうのです。

「いや、御社の派遣社員のDさんなんだけどね。今までの会社ではどれだけ頑張っても収入が変わらなくて達成感が得られなかったから、ここでは出せるだけ成果を出して高い収入を得たいっていうから期待してたんだよ」

「研修や先輩との同行のときはすごく意欲的で、先々化けるんじゃないかなと思ってたんだけど、いざ1人で営業回らせてみたら、仕事してるんだかしてないだかわからないような状況でね・・・」

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