【続編④】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】勤怠や交通費を水増し請求する派遣社員Dさんのクレーム対応

【続編④】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】勤怠や交通費を水増し請求する派遣社員Dさんのクレーム対応

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派遣先B社で外回りの営業職として半年働いてくれている30代男性の派遣社員Dさんですが、「営業成果が悪いだけでなく、営業報告書に矛盾が多く、仕事をサボっているのではないか?」との派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

派遣先W課長から大体の状況がヒアリングできたところで、今度は当事者であるDさんとの面談です。

W課長の話ぶりからして、Dさんの日々の言動をしばらく様子見した上での私への「まぁ、このままだと継続は難しいな・・・」というコメントであるわけで、Dさんへの私のアプローチは彼を注意指導して改善に導くというより、W課長の話の真偽のほどを確かめつつ、それがある程度事実であるならば、揉め事にならないようにB社からご退場頂くということになります。

今後考えるアクションは次のようなものです。

  • 矛盾があると指摘された営業報告書の内容の真偽を確認する
  • 仮に営業報告書の内容に偽りがあった場合に、その時間どこで何をしていたのかを確認する
  • 返答によっては勤務時間や移動交通費の虚偽報告にもつながり、本人の見解を確認する
  • 本人が不正を認めたのであれば、現在の契約期間満了での退職を促す

業務怠慢や勤務時間・移動交通費の虚偽報告などの不正があれば、契約満了での退職はもちろんのこと、本人との話し合いの上で契約期間満了を待たずして退職をしてもらうケースもあります。

ただ、外回りの営業職ともなれば、その間に何をしていたか立証をすることはお互いに難しくの泥仕合いになりがちなのです。

「不当に雇い止めをされた」などと労務トラブルになる事を派遣先のB社も望んでいませんから、本人に非を認めてもらい、揉めることなく契約満了での退職につなげたいというのが着地点になります。

営業報告書上の複数の矛盾点という物証がありはするものの、W課長からの指摘を正としすぎて、頭から疑ってかかるような物言いをすれば「派遣先の言うことばかり鵜呑みにして!!」とか「私の言うことは信じてもらえないのですか!?」などと反論をされるのがオチですから、寄り添う姿勢は必要。

Dさんがどれほどの腕前なのかはわかりませんが、日々その交渉力を活かして切磋琢磨している営業職が相手ですから、一つ一つの発言に気を抜くことはできないのです。

頭の中でシナリオを立てながら用意周到に会話をリードしていかなければいけません。

派遣社員Dさんとの面談

「Dさん、すみませんね。営業から戻ってきてお疲れのところお時間頂いてしまって」

Dさんは30代前半の男性。引き締まった体躯に短髪がよく似合っていて、爽やかな好青年といった印象です。

実際に私もこれまでの彼との付き合いの中で、良い印象しかなく、派遣先から今回のような指摘をもらうことになるとは思いもしていませんでした。

「最近はお仕事どうですか?もうすぐ勤め始めて半年でしたっけ?」

わざわざ私が面談をしにくるということは何かしらの用件があってのことだと推測はつきそうなものですが、Dさんはさして私を警戒する様子もなく、笑顔で答えます。

「そうですね。もう半年ですか、意外とあっという間だなぁ」

「最近仕事は数字に苦戦してましてね、なんとかしないといけないなぁ」

あまり深く落ち込んでいる様子もありませんが、営業成績が不振であることの自覚はあるようです。

「そうみたいですね・・・さっきW課長とも話したんですが、結構苦戦してるって」

「私も同じ営業職なので、営業成績に波があるのは仕方ないことだし、営業しはじめの頃はお客さんもついていないからなかなか数字があがらないのもわかるんですが、何か原因ってあります?」

Dさんは手元に置いていた手帳を開き、見るともなしに目線をそちらに移します。パラパラとページをめくりながら少し思案したのちに口を開きました。

「・・・そうですねぇ、やっぱり商品知識が足りなくて、商談の途中で会話がつかえちゃいますね。お客さんはそれを察知して話がうまく進まないことが多いというか・・・」

「もう少し研修をやってほしいかな・・・」

B社ではスタートから2ヶ月間程度、座学の商品研修やロールプレイング、上司や先輩との営業同行などが行われます。

取り扱う商品の幅からすると2ヶ月間で一人前の営業マンになれるなどということはありませんが、営業職の派遣社員向けの育成としてはかなり長い期間を取ってくれており、そこで足りない商品知識は営業活動の中でお客さんの問いかけに答える形で覚えていくということになります。

「それに今もらっているリストが結構厳しいですね・・・」

「みんなリストをランダムに渡されてるから、誰が贔屓されているとかは思っていないんですけど、やっぱりベテランにいいリストが集まっているから、我々新人は厳しいですね・・・」

Dさんがいう「リスト」とは営業先となる企業のことです。

B社では営業先となる大手や中堅企業はB社の社員が、中小企業やSOHO(ホームオフィス スモールオフィス=個人事業主や社員数数名の企業)はW課長の率いる営業センターが営業を仕掛けています。

中堅企業と中小企業の線引きは明確ではありませんから、それぞれの企業をリスト化して、どちらが営業ターゲットとするかを棲み分けているのです。

さて、私からの「営業成績の不振の理由はなんですか?」という問いの答えは次のようなものでした。

  • 派遣先の育成が不十分
  • 与えられた営業先が不公平

長年営業職の派遣社員を多数担当してきて、これほど聴き慣れた言葉はありません。

問題はDさんがどこまでこの「営業成績不振の原因」を声高に主張するかどうか?ということなのです。

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