【続編③】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】勤怠や交通費を水増し請求する派遣社員Dさんのクレーム対応

【続編③】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】勤怠や交通費を水増し請求する派遣社員Dさんのクレーム対応

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派遣先B社で外回りの営業職として半年働いてくれている30代男性の派遣社員Dさんですが、「営業成果が悪いだけでなく、営業報告書に矛盾が多く、仕事をサボっているのではないか?」との派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣先W課長へのヒアリング

「いざ1人で営業回らせてみたら、仕事してるんだかしてないだかわからないような状況でね・・・」

そうぼやくW課長。営業組織の長にも色々なタイプがいますが、W課長は体育会系でもなく、重箱の隅を突くようなマイクロマネジメントでもなく、個々の働く目的や意味を重視してアプローチをし、モチベーションを上げていこうという丁寧なマネジメントをするタイプの方です。

「研修や同行のときはすごく意欲的だったんだけど、1人で営業回りするようになってから様子がおかしいんだよねぁ・・・」

派遣社員Dさんは30代前半の男性で、これまでも数社で営業経験のある人物です。

新卒で入った会社が軍隊調のいわゆるブラック企業だったようで、合宿所に泊まり込みで行われた新卒研修では10名近くいた同期が順番に1人ずつ選ばれ、自分以外の同期全員から欠点を激しく大声で指摘された上、どうすればその欠点を払拭できるのかを同期全員が納得するまで発表させられるといった常軌を逸したワークショップをさせられたと言います。

精神的に追い詰められるだけ追い詰められ、最終日が近づく頃にはお互い情緒不安定になって、ちょっとしたことでも感動して涙したり、異常な高揚感とともに社歌や社是を大声で連呼するといった洗脳状態に。

下山して会社に戻り数ヶ月も経つと徐々に正気を取り戻した同期から1人2人と会社を去っていき、半年も経つ頃にはDさんともう1人しか残っていなかったそうです。

最初の会社を半年で退職したDさんは、前職での後遺症もあるのか、なかなか一つの会社に腰を落ち着けることができず、職歴の数だけ増やしながら私にB社を紹介され今に至るという経緯でした。

「以前彼と話したときに言ってたんだけど、自分は若いのにずいぶんコロコロ転職して職歴ばっかり増やしちゃったから、今後は営業スキル高めて営業としてどこでも食っていけるようにしたいって言ってたんだよね」

「うちの営業先は中小企業だけど、結構商品の数は多いし、単品売りじゃなくて、いわゆる課題解決型の営業だから、営業力つけるにはいいんだと思ってね。今までは『これ売ってこい』って言われたものを片手にひたすら訪問したり、電話帳片手に電話しまくるような営業してたみたいだから・・・」

「彼が今後、うちで数年働いた後に別の会社に属して営業をやるのか、自分で会社立ち上げたり、代理店みたいなやり方するのかわからないけど、教えられるだけ教えようと思ってたんだけど」

「毎日夕方会社に戻ってきたら、その日の営業報告書を書いてもらうんだけど、同じことを日を変えて何度も書いてあったり、移動時間を合計すると商談でかかる時間の合計と辻褄が合わなかったり、まぁでたらめでさ」

「まぁ要するに営業行くって言ってサボっていたりするのかなって。そうなると実際に仕事をしてる時間はどれだけあるのかとか、交通費の請求とかも不正めいてくるから、ちょっと私から本人に確認するというよりは雇用主である派遣先から本人に確認してもらったほうがいいかと思ってね」

「まぁ、このままだと継続は難しいな・・・」

他人事のように淡々と話すW課長。

本来であればそのような働きぶりのDさんに対して激しく憤慨し、私に対しても「一体どうなってるんだ!」と激昂してもおかしくない状況です。

そこはこの営業センターの立ち上げから携わっているW課長の苦労の末の達観と言えるでしょう。

私自身もほぼ同じ経験値を持っていますが、派遣社員のような外部人材を集めた営業部隊を運営したことのある管理職は次のような考えを根底に持っているのです。

  • どれだけ適切な教育やマネジメントをしても辞める人は何をしても辞めていく
  • 1年経って1/3でも定着をしていれば御の字
  • 管理をしなくても真面目にやる人はやるし、どれだけ管理をしてもサボる人はサボる
  • 営業が向いていない人にどれだけ教育をしても大きな成長は望めない
  • 人材を供給する派遣会社にどれだけ文句を言ったところで事態は好転しない

身もふたもない話ですが、外部人材を集めた営業部隊の運営においては「穏やかなあきらめ」が必要で、一度疑問符がついた人材が華々しい活躍を見せることなど期待したくてもできない現実に何度も直面するのです。

人材の側面から見たときの運営のコツは「できる人にいかに成果をあげてもらうか」「できる人にいかに居ついてもらうか」「新人の中から芽がありそうな人をいかに育て、定着させるか」といった部分がポイントになります。

いわばW課長にとって、Bさんはしばらく様子を見た上で「先々難しい」と判断をした人材であって、私に求めているのは改善ではなく幕引きなのです。

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