【派遣社員として働くための基礎知識】派遣はずっと派遣!?派遣スパイラルを抜けるには能動的キャリアプランニングが必要

派遣社員として働くための基礎知識】派遣はずっと派遣!?派遣スパイラルを抜けるには能動的キャリアプランニングが必要

派遣バブルを機に、人材派遣に求められる人材ニーズが激変した

ベテランが強みを活かしづらい派遣会社営業マンのキャリアプランは?の記事でも少し触れましたが、私が派遣業界に入った20年近く前は、業界内でいう「派遣バブル」でした。

スタッフサービスの「オー人事、オー人事」のCMで一気に人材派遣という仕組みが認知され、一般化するきっかけになりました。

それまでの人材派遣というと、それこそ派遣法の目的通り、「高度なスキル・経験を持った人材が、そのスキル・経験を活かして専門的な業務を行う」というサービスでしたので、派遣社員の皆さんもOAスキルが非常に高く、表現が違うかもしれませんが職人的な、プロ意識の高い派遣社員が多かったのです。

しかし、当時の政権の後押しもあって、産業界が積極的に人材派遣を利用するようになり、人材派遣は「プロ人材による専門性を活かしたサービス」から、企業側が雇用の責任を負わず、有期で労働力の増減を調整できる「雇用の調整弁」というように随分と意味合いを変えました。

そして人材派遣が「雇用の調整弁」に意味合いを変えたことに呼応するように、現場で働く派遣会社営業担当という立場でも、派遣先からの人材ニーズが大きく変わったことを肌身で感じられるようになりました。

  • 職場の事務のサポートをしてくれる人材を派遣して欲しい
  • 簡単な資料作成やファイリング、電話応対、お茶出しなどをやってもらうので、高いスキルはいらない
  • サポート役なので頼みやすい若い女性が良い
  • 多少スキルが低くても、気立ての良い子ならみんなで面倒見て教えるので大丈夫

これまでの人材ニーズであった経験やスキルを裏付けにした「即戦力」から、「仕事を頼みやすい若くて明るい子なら、スキルや経験がなくても育てるよ」と言った、まるきり正反対の人材ニーズになってしまったのです。

人材派遣を利用する企業の人材ニーズの激変により、人選の裾野が一気に広がり、派遣バブルに拍車がかかりました。

これまでは「専門性」と言えるまでのスキル・経験がないといけなかったのが、「若くて気立ての良い女性ならOK」となったわけですから、その裾野の広がり方は異常なほどです。

「これは儲かる」と感じた事業家が我先に派遣会社を立ち上げ、雨後のタケノコのように派遣会社が乱立しました。

これにより、人材派遣マーケットが急拡大するとともに、当時20〜30代前半の大勢の女性達が、人材派遣という新しい働き方に加わったのです。

現在の派遣社員はどんな人?

時代は20年経った現在、いまや有効求人倍率はバブル期を抜き、空前の売り手市場です。

そんな雇用情勢で、人材派遣マーケットで派遣社員として働いてくれているのはどんな人達なのでしょうか?

一般社団法人 人材派遣協会のWEBアンケートをみると一目瞭然です。

現在の派遣社員として働いている人達は9割が女性、平均年齢は35〜50歳が全体の6割を超え、平均年齢は39.6歳となっています。

つまり、現在人材派遣社員として働いてくれている人達の大半は、20年前の派遣バブルで初めて人材派遣という仕組みで働き始め、今に至っても派遣スタッフとして働いてくれている人達なのです。

ここから次のようなことが考えられます。

  • 売り手市場の現在では、20〜30代の若手人材は、人口構成の問題もあり「若さ自体がスキル」であり、正社員マーケットで職についている
  • 人材派遣マーケットで働く人材は主に正社員マーケットで選考から漏れた30代後半〜50代前半で構成されている
  • つまり派遣バブル時に初めて派遣スタッフとして働き始めた20〜30代前半の女性は、その後も派遣スタッフとして働いていて「雇用の固定化」が起こっている

実際に私が、派遣会社営業担当として仕事をしている中でも、30代後半〜50代前半の女性派遣社員は、「若い頃は正社員で働いていたけど、その後はずっと派遣」という方がほとんどです。

派遣はずっと派遣!?

ではなぜ、派遣という働き方を選んだのでしょうか?

一般社団法人 人材派遣協会の別のアンケートを見ると、派遣で働いている理由のトップスリーは次の通りです。

  1. 働く時期や期間を自分で選べる
  2. すぐに仕事に就ける
  3. 勤務地を選べる

派遣という働き方のメリットである、働き方の自由度が高いという項目もランクインしつつ、「すぐに仕事に就ける」という、生活のためにいち早く収入を得る必要があり、「仕方なく派遣」という選択をしている人も多いわけです。

一度派遣で働き始めると、ずっと派遣で働き続ける可能性が高いという「雇用の固定化」は一時期「派遣スパイラル」とも呼ばれ、話題になりました。

派遣会社営業社員である私が、人材派遣という仕組みに否定的では仕方ないのですが、単に希望する働き方で仕事に就きやすいという安易な理由だけで、派遣という働き方のメリットやデメリットを深く考えずに選択される方も多く、特に若い派遣社員は将来が心配になります。

お節介な私は、若い派遣社員には「そろそろ派遣から正社員になるタイミングを考えた方がいいよ」と自分の首を絞めるようなアドバイスをしたりしますが、派遣会社も派遣会社の営業担当も営利で仕事をしている以上、そんなアドバイスなんてするはずもありません。

自分で先々までのキャリアプランを考えず、派遣会社の言う「この仕事は派遣の案件の割には自分で判断できる範囲が広くて、業界の専門知識も得られるし、今後のキャリアアップに役立ちますよ!!」なんて甘い言葉を信じてはいけないのです。

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