【派遣社員として働くための基礎知識】社会保険は就業開始月に加入・喪失するとダブルで社会保険料がかかる

派遣社員として働くための基礎知識】社会保険は就業開始月に加入・喪失するとダブルで社会保険料がかかる

派遣社員として働くと、加入しなければならない社会保険は?

派遣社員として働き始めたときに加入する社会保険は何があるでしょうか?

少々ややこしいのですが、働くにあたって加入する保険について少しご説明します。

  1. 労災保険
  2. 雇用保険
  3. 厚生年金
  4. 健康保険

まれに「私は派遣社員だから社会保険は入れない、入る必要がない」と誤解されている方がいますが、派遣社員だからと言って、労働者という意味では他の雇用形態と同じですので、それぞれの保険の加入要件を満たせば選択の余地なく加入をすることになります。

労災保険

  • 業務中や通勤途中の事故・災害により、ケガ・病気・障害状態・死亡した場合などに保障を行う制度
  • 1人でも従業員のいる企業は強制加入
  • 保険料は事業主負担

雇用保険

  • 転職期間中の収入保障を目的とした制度
  • (1)1週間の所定労働時間が20 時間以上(2)31 日以上、雇用される見込みがある場合に強制加入
  • 保険料は労働者が賃金の0.3%を負担

労災保険と雇用保険の二つを合わせて「労働保険」と呼ぶことがあります。

厚生年金保険

  • 会社員の現役引退後(老後)の生活費用確保を目的とした制度
  • 適用事業所のうち常時5人以上の従業員のいる事業所の従業員で、月に20時間以上の労働時間、2ヶ月以上の雇用契約がある場合に強制加入

健康保険

  • 医療費の3割負担、高額療養費で知られる、割安に医療を受けられることを目的とした制度
  • 適用事業所のうち常時5人以上の従業員のいる事業所の従業員で、月に20時間以上の労働時間、2ヶ月以上の雇用契約がある場合に強制加入

厚生年金と健康保険の二つを合わせて「社会保険」と呼ばれ、保険料は労使負担。保険料率は2017年9月以降18.3%で固定されており、そのため被保険者の負担分は給与及び賞与額の9.15%分となります。

私の勤めている派遣会社は年単位の長期で働く事務職や販売職、営業職といった人材派遣サービスを行なっているため、担当している派遣社員の9割以上がご紹介した全ての公的保険に加入しています。

社会保険に関するトラブル

制度として決まっている話ということもあり、労働保険や社会保険に関するトラブルというのはそれほどありません。

ただ、まれに発生するするトラブルがあるのです。

社会保険料を二重に支払わなければいけないケース

派遣での仕事が決まり、加入要件である20時間以上の労働時間、2ヶ月以上の契約期間のある仕事であった場合、スタート初日から社会保険(厚生年金+健康保険)に加入することになります。

順調に就業を継続してくれれば全く問題ないのですが、まれに「仕事内容が合わない」「職場環境が合わない」と、就業開始月早々に辞めたいと申し出があるケースがあります。

【Aさんの例】

  • Aさんは12/1から就業を開始した
  • 派遣会社との初回の雇用契約は12/1-2/28の3ヶ月であった
  • 加入要件を満たすのでスタートから社会保険の加入をした
  • スタートから半月経ってAさんから「職場環境が合わないので、すぐにでもやめたい」との申し出があった
  • Aさん、派遣先双方に諸々の調整をしたが、結果12/15で退職することになった
  • 合わせて、社会保険の加入を取り下げて欲しいとの希望があった

この場合、社会保険の視点から見るとどのような対応になるのでしょうか?

  • 12/1に加入し、12/15に資格喪失の手続きをしたことで、当社での就業を前提とした厚生年金・健康保険の加入期間は12/15-12/15となる
  • その間の社会保険料は給与から天引きされる
  • 加入の取り消しといった対応は一切できない
  • 12/16-12/31は国民年金・国民健康保険に加入する必要があり、保険料が徴収される
  • つまり、12/1-12/15の厚生年金・健康保険の保険料と、12/16/-12/31の国民年金・国民健康保険の保険料の両方を支払う必要がある

※就業開始月以降は、毎月月末に勤務していればその会社の雇用を前提とした厚生年金・健康保険加入、無職であれば国民年金・国民健康保険(もしくは健康保険の任意継続)

保険料は収入によって違いますし、国民健康保険料は自治体によっても金額が違うのですが、仮に厚生年金・健康保険料を25,000円として、さらに国民年金・国民健康保険料で同じく25,000円支払う必要が発生するイメージです。

払う払わないで泥沼化

例として出したAさんのように、就業開始早々に「職場環境が合わないから、すぐ辞めます」と、本当にすぐ辞めてしまう方は、派遣という働き方をとても安易に考えていることが多く、こういったケースが発生しがちです。

社会保険の制度上の問題ですし、派遣会社はあくまで社会保険料を代行徴収しているだけで、しかも派遣社員と同額を負担しているわけですから、

「就業開始月にすぐ辞めると、社会保険保険料が二重に取られますよ。ですから、辞めたければ次の月以降にしてくださいね」

というような、就業開始前に「嫌ならすぐに辞めてもいいよ」とも受け止められるご案内をするのもはばかられ、実際に就業開始月途中に辞めたいとおっしゃる派遣社員に個別にご案内するようにしていました。

それを聞かされた派遣社員は、たいていは就業開始月での退職を躊躇するのですが、まれに「そんな話、聞いていない!払わない!」といったトラブルになるケースがあります。

派遣社員が押し切るように辞めてしまった場合、派遣会社は社会保険料の徴収を代行しているだけですから、本人との合意は関係なく社会保険料を給与から天引きします。

この対応で派遣スタッフ側は「勝手に給与を減らされた!」と感情的になります。

しかも就業日数が少なすぎて、給与から天引きしきれない場合はさらにこじれます。

派遣会社側が一旦保険料を建て替えるため、その不足額は債権化するのです。

何としてもご本人から回収しなければならず、払う払わないの泥沼化・・・

派遣社員からみたら不満に思うのも分からなくはないんですが、私も困らせたくてやっているわけではないので、なかなか折り合いが付かないのです。

こういった経験を何度かしてから、今は怪しいなと感じる方にはご案内をするようになりました。

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